Clean build RPM with mock as like git-buildpackage¶
DebianパッケージのビルドシステムはTrustyでJenkinsとpbuilder & cowbuilder & git-buildpackage を使って実装している、という話を 7月のDebian勉強会 でお話しました。
一方、RPMについては、2年ほど前にFlaskとCouchDBで実装したパッケージ管理システムを作成しました。Webブラウザ経由でRPMbブラウザでアップロードすると、ローカルリポジトリに登録されるようなシロモノです。個人的にはRPM使わないのでまぁ良いのですけど、ブラウザ経由でアップロードとか面倒ですね。 1 また、Upstreamが配布しているRPMはまだしも、カスタムパッケージの場合、Debianパッケージでのpbuilderなどのように、mockでクリーンビルドを行っていないと、「オレの環境ではビルドできるんだけど?」という、「これはヒドイ」パッケージが配布されます。 2
そこで、前述のDebianパッケージのビルドシステム同様に、Debian上でmockを使ってGitリポジトリからクリーンビルドすることができないかを検証してみました。
環境¶
検証した環境は次のとおりです。Trustyのmockパッケージも1.1.33で、後述のJenkinsでの実行は、Trusty上での実行をサンプルリポジトリを使って確認済みです。
Debian GNU/Linux Sid
mock 1.1.33
chrootターゲット epel-6-x86_64 (CentOS6用) 3
chrootのターゲットは、/etc/mock以下の .cfgファイルから選びます。mock(1)には、デフォルトでは、/etc/mock/default.cfgというファイルが選択される、とあるのですがDebianパッケージにはこのファイルはありません。必要ならユーザが用意する必要があります。
また、site-wideの設定として/etc/mock/site-default.cfgが使用されます。こっちは後述のGit関連のオプションを指定する際に内容を確認しました。
環境準備¶
mockパッケージのインストール:
$ sudo apt-get install mock
mockグループの作成:
$ sudo addgroup mock
実行ユーザをmockグループに追加:
$ sudo adduser mkouhei mock
chroot用ディレクトリの作成:
$ sudo install -g mock -m 2775 -d /var/lib/mock
chrootツリー作成:
$ mock -r epel-6-x86 --init
これを実行しなくても、初回のビルド実行すると、chrootツリーがなければ作成されます。 /var/lib/mock/epel-6-x86_64/rootに作成されます。
Source RPMをリビルド¶
まずは普通にSource RPMをリビルドしてみました。:
$ mock -r epel-6-x86_64 rebuild /path/to/example-0.1-1.src.rpm
実行すると、ログと正常に実行された場合に生成されるRPMファイルが/var/lib/mock/epel-6-x86_64/result以下に生成されます。生成されるファイルは下記の通りです。
available_pkgs
build.log
installed_pkgs
root.log
state.log
example-0.1-1.src.rpm
example-0.1-1.x86_64.rpm
root.log, state.log, build.logでビルドに問題無いかを確認できます。mock自体はPythonで書かれていて、実行時にエラーになるとPythonのログを吐いてくれるので、原因は割と追っかけやすいです。
chrootツリーは生成されるとepel-6-x86_64の場合約432MB、キャッシュが/var/cache/mock/epel-6-x86_64以下に約327MB、/var/cache/yum以下に約71MB程度できます。キャッシュは依存するパッケージなどによって増減するでしょうけど、まぁ最低1GB程度あれば事足りそうです。
Gitリポジトリからビルド¶
git-buildpackageと同様に、Gitリポジトリからビルドするには、 –scm-enable オプションおよび –scm-option オプションを使います。
mock(1)のサンプルでは、 –scm-option の引数には:
mock -r fedora-14-i386 --scm-enable --scm-option package=pkg
とだけあり、他のkey-valueが分からないのですが、ここで前述の/etc/mock/site-defaults.cfgが参考になります。次のような記述があります。
#
# Things that must be adjusted if SCM integration is used:
#
# config_opts['scm'] = True
# config_opts['scm_opts']['method'] = 'git'
# config_opts['scm_opts']['cvs_get'] = 'cvs -d /srv/cvs co SCM_BRN SCM_PKG'
# config_opts['scm_opts']['git_get'] = 'git clone SCM_BRN git://localhost/SCM_PKG.git SCM_PKG'
# config_opts['scm_opts']['svn_get'] = 'svn co file:///srv/svn/SCM_PKG/SCM_BRN SCM_PKG'
# config_opts['scm_opts']['spec'] = 'SCM_PKG.spec'
# config_opts['scm_opts']['ext_src_dir'] = '/dev/null'
# config_opts['scm_opts']['write_tar'] = True
# config_opts['scm_opts']['git_timestamps'] = True
# These options are also recognized but usually defined in cmd line
# with --scm-option package=<pkg> --scm-option branch=<branch>
# config_opts['scm_opts']['package'] = 'mypkg'
# config_opts['scm_opts']['branch'] = 'master'
この中で実質上必須のオプションは次の通りです。 これらのkey毎に –scm-option で指定する必要があります。
package
git_get
spec
wirte_tar
まず、 git_get を指定しないと上記の例がデフォルト設定になっているため、 git://localhost/package.git からcloneしようとします。 git clone をつけないといけないのと、既にclone済みのディレクトリをそのまま使えないのがイケてないですね。 ただ、後者については、 git_get=git clone /path/to/repo と指定すれば、clone済みのリポジトリからcloneできます。 4 また git_get でcloneすると、自動的にchroot内のローカルリポジトリにchdirします。
spec の指定はローカルリポジトリのディレクトリをrootとし、そこからの相対パスで指定できます。なので、upstreamのGitリポジトリにrpm用のspecファイルが含まれている場合、specファイルの相対パスを指定してビルドすることができます。簡便であるという点では良いのですが、Debianパッケージのように、upstreamのソースコードとメンテナスクリプトを分離する概念がmockしないため、第三者のFLOSSのGitリポジトリからforkしてパッケージ管理するとコミットログが混じってしまって混ぜるな危険な感じではあります。あるいは、自分で git-buildpackage のように upstream ブランチと master ブランチを分けて管理する、という方法も取れますが、自分で一からやるのは面倒ですね。
write_tar は、specファイルの中で Source タグを指定している場合、 True を指定します。デフォルトは False です。 True を指定するとchroot内の /builddir/build/SOURCES ディレクトリ以下にGitリポジトリから tar czf で生成されたtarballが配置されます。 5 これが生成されないと、mockでの rpmbuild 実行中にコケます。
実際にGitリポジトリからビルドするには次のように実行します。:
$ mock -r epel-6-x86_64 --scm-enable --scm-option package=example --scm-option git_get="git clone git@remote/example.git" --scm-option spec=rpm/example.spec --scm-option write_tar=True
ローカルミラーやローカルリポジトリを使う場合¶
カスタムパッケージなどに依存するパッケージを作るには、ローカルリポジトリが必要になります。 chroot環境で参照するyumリポジトリは、 -r オプションで指定した、 epel-6-x86_64.cfg に記述があります。
config_opts['root'] = 'epel-6-x86_64'
config_opts['target_arch'] = 'x86_64'
config_opts['legal_host_arches'] = ('x86_64',)
config_opts['chroot_setup_cmd'] = 'groupinstall buildsys-build'
config_opts['dist'] = 'el6' # only useful for --resultdir variable subst
config_opts['yum.conf'] = """
[main]
cachedir=/var/cache/yum
debuglevel=1
reposdir=/dev/null
logfile=/var/log/yum.log
retries=20
obsoletes=1
gpgcheck=0
assumeyes=1
syslog_ident=mock
syslog_device=
# repos
[base]
name=BaseOS
enabled=1
mirrorlist=http://mirrorlist.centos.org/?release=6&arch=x86_64&repo=os
failovermethod=priority
[updates]
name=updates
enabled=1
mirrorlist=http://mirrorlist.centos.org/?release=6&arch=x86_64&repo=updates
failovermethod=priority
[epel]
name=epel
mirrorlist=http://mirrors.fedoraproject.org/mirrorlist?repo=epel-6&arch=x86_64
failovermethod=priority
[testing]
name=epel-testing
enabled=0
mirrorlist=http://mirrors.fedoraproject.org/mirrorlist?repo=testing-epel6&arch=x86_64
failovermethod=priority
[local]
name=local
baseurl=http://kojipkgs.fedoraproject.org/repos/dist-6E-epel-build/latest/x86_64/
cost=2000
enabled=0
[epel-debug]
name=epel-debug
mirrorlist=http://mirrors.fedoraproject.org/mirrorlist?repo=epel-debug-6&arch=x86_64
failovermethod=priority
enabled=0
"""
なので、ローカルミラーやローカルリポジトリを使う場合にはここを変更すればよいでしょう。なお、デフォルトでgpgcheckは無効になっています。 6 gpgcheckを有効にして、ローカルリポジトリのGPG公開鍵を追加する場合は、/var/cache/mock/epel-6-x86_64/root_cache/cache.tar.gz を修正し、chrootツリーを作成しなおす必要があります。
Jenkinsでmockを実行する¶
Jenkinsでmockを実行する場合、ssh経由でしか git clone できないリポジトリを使う場合には、private keyのパスフレーズの入力面倒です。なので、JenkinsのGitプラグインを使って、JenkinsのWORKSPACEにcloneしたローカルリポジトリを使ってビルドすることになります。 ところが、前述の通り、mockは git_get で git clone する必要があります。なので、
JenkinsのGitプラグインで git clone する
mockに –scm-option git_get=’git clone ${WORKSPACE}/repo’ オプションで、JenkinsのWORKSPACEから更に git clone する
という2段階の git clone を行えば使えることになります。 なんかダサいですね。
Bitbucketに用意した サンプルリポジトリ を使うと、Jenkinのジョブ設定は下記のようになります。
Git repository
Branch Specifier (blank for ‘any’)
*/master
Local subdirectory for repo
example
シェルスクリプト
mock -r epel-6-x86_64 \
--resultdir=${WORKSPACE}/result \
--scm-enable \
--scm-option package=example \
--scm-option git_get="git clone ${WORKSPACE}/example" \
--scm-option spec=rpm/example.spec \
--scm-option write_tar=True
–resultdir オプションで${WORKSPACE}/result を指定すると、ワークスペース下にresultディレクトリが生成されます。
残タスクとしては、生成するRPMにGPGで署名すること、ローカルリポジトリにpush & createrepoを実行することですね。
まとめ¶
以上で、Debian/UbuntuでJenkinsを使って、RHEL系のシステムのRPMの自動ビルドもできるようになりました。普段Debianシステムしか使ってないのに、やんごとなき事情でRPM作らざるを得なくなっても、Debianシステムだけで基本的には完結できますね。
Footnotes
- 1
自分で作って&メンテしておきながら、これはヒドイ。
- 2
他の人が作ったspecファイルを今回の検証に使ったらそうだったのです。
- 3
デフォルトでは、CentOSとFedoraの各バージョン用のファイルが用意されています。この辺はpbuilder/cowbuilderよりも親切で便利ですね。
- 4
CVS、SVNも対応できるようにするため、とは言え、 コマンドを書かないとアカン のは微妙ですね。
- 5
git archive コマンド ではない のです。これもCVS, SVNも対応するためでしょう。
- 6
upstream自体で無効 にされています